トラックタイヤの交換作業は、見た目以上に過酷で、体力・技術・集中力のすべてが求められる仕事です。
まず第一に、その作業の物理的な負担が非常に大きいという点が挙げられます。
大型トラックのタイヤは1本あたり100kgを超えることもあり、ホイールを含めた状態ではさらに重くなります。
そのため、1本交換するだけでも全身の筋力を総動員しなければならず、1日に複数本を扱う現場では、まさに体力勝負の連続です。
また、トラックタイヤの交換には常に危険が伴います。
たとえば、高圧エアを使ってタイヤとホイールを密着させる「ビード上げ」と呼ばれる工程は、失敗すれば強い衝撃が発生するため、大きな事故に繋がる危険性があります。
作業中は車体をジャッキで持ち上げることもありますが、その設置が不安定であれば車両が傾いたり倒れたりするリスクもあります。
このように、ちょっとした油断やミスが大事故に繋がりかねないため、常に緊張感を持って作業にあたる必要があります。
さらに、作業環境の厳しさも過酷さに拍車をかけます。タイヤトラブルは屋内だけでなく、炎天下の高速道路、雪が積もる現場、雨の中の路肩など、あらゆる場所・天候で発生します。
そのため、整備士は気候や時間帯に関係なく、現場に駆けつけて作業を行わなければならないことも多く、暑さによる熱中症や寒さによる手足の感覚麻痺といったリスクにもさらされています。
そして、時間的なプレッシャーも大きな要因です。運送会社にとってトラックは「動いてこそ意味がある」存在ですから、タイヤ交換はできるだけ早く終わらせることが求められます。
そのため、作業員は常にスピードと正確さの両方を意識しなければならず、集中力を切らすことは許されません。
特に深夜や早朝など、急な出動が必要な場合には、肉体的な疲労に加え、睡眠不足や精神的なストレスも大きくなります。
このように、トラックタイヤの交換作業は、重労働であると同時に高い技術力と安全意識を必要とする、非常に過酷な仕事です。
その現場を支える整備士やタイヤ技術者の存在は、物流を支える重要な一端を担っていると言えるでしょう。
トラックタイヤ交換を効率化をおこなうヒントは以下記事で解説しています。
トラックタイヤ交換時のトラブル対策と注意点